転院の可否?(令和5年7月12日更新)
被害者の方から,転院したいが,保険会社から転院がだめだと言われたとか,転院を認めるためには医師の紹介状が必要だと言われた,といった相談を受けることがあります。
しかし,治療してもよくならないとお感じになっている場合や,もっと親身になってくれるお医者様に通院したいと考える場合,どのようなお医者様に行って,どのような治療を受けるかは,患者である被害者の方が決めることであり,保険会社に指図される理由はありません。
もっとも,あなたが保険会社から治療費の支払を受けている場合,保険会社には支払する義務がないことから,治療費の支払を打ち切ってくる可能性があります。この場合,健康保険などを使って通院を続けることになりますが,納得のいく治療を受けることの方が大切と思われる被害者が大半だと思います。保険会社の打ち切りのリスクを避けるには,早めの転院が望ましいでしょう。
転院する場合,転院前の病院との関係では当たり障りのない理由をつけて転院し,また何度も転 院するわけにはいきませんので,病院もよく調べてきちんと選定する必要があります。
また,通院した病院が将来的に被害者のみなさまの後遺症の診断に必要な資料を作成 することになりますので,この点もよく調べて転院することが望ましいと思います。
(執筆者)弁護士 菅野 芳人
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