交通事故の加害者が自動車保険(任意保険)に加入していなかった場合,賠償は受けられないのですか?(令和5年6月18日更新)
最近このような相談を受けることがよくあります。加害者が任意保険に入っていない場合,被害者は自賠責保険の限度,具体的には,けがをした場合に治療費などで120万円,死亡した場合や後遺症が残った場合は75万円から4000万円の範囲で補償が受けられます。しかし,自賠責の定める額では一般的に十分な補償とはならないのが通常です。少し大きな事故の場合,治療費の120万円の枠はすぐに超えてしまうし,治療を終えた後においても,自賠責保険の額は後遺障害の慰謝料額より低い場合が多いのが実情です。
このような場合でも,ご自身やご家族の入っている自動車保険の保険証券を見て下さい。証券の中の人身傷害保険あるいは無保険車傷害の欄をみて,これらに加入しているようであれば,すぐに保険会社に問い合わせたり,弁護士に相談して下さい。ご自身で保険証券を見て判断できない場合も同様です。
通常の自動車保険であればこの特約をつけているはずです。もし付けていれば,ひと安心です。加害者に請求するのと同様あるいは少し低めの損害賠償額の金額を受け取れる可能性が十分にあります。もっとも,自動車の損害,いわゆる物損については,これらの保険あるいは自賠責保険では賠償されませんので,加害者と交渉する必要があります。この点もすぐに弁護士に相談するとよいでしょう。
人身傷害特約は,被害者に過失がある場合の,過失分を補填する役割もあり,とても大切な特約です。しかし,保険の約款などは複雑ですので,この機会に弁護士等に相談し,ご自身あるいはご家族の保険を見直してみることも大切です。